コーヒー豆の劣化には大きく分けて2つあります。今回はコーヒー豆の風味の劣化の種類とその原因、そして劣化の速度を和らげる保存方法についてご紹介します。

香りの減少・変化による風味の劣化

新鮮なコーヒー豆はとても良い香りがしますが、これは香りの成分が揮発性で、空気中に放出されているためでます。つまり、コーヒーの香りは時間と共に失われていくのです。

焙煎されたコーヒー豆には、700種類程度の香気成分が含まれていますが、成分によって揮発する早さが異なります。早く失われるものと、ゆっくり失われるものがあるため、香りが弱くなっていくだけではなく、香りの質が徐々に変わっていきます。この変化の過程で「いい香り」ではなくなった時に、劣化したと感じることになります。

酸化による風味の劣化

もう1つの劣化は、コーヒー豆に含まれる油脂の酸化です。アラビカ種のコーヒー豆には10~20%の油脂が含まれています。焙煎時の加熱により、これらの油脂の酸化が始まります。加熱後すぐに酸化するのではなく、加熱をきっかけにして始まり、空気中の酸素や水分と反応することで徐々に酸化が進行していきます。

油脂分はコーヒーのうま味成分の1つですが、酸化と共に不快な味に変わっていきます。揚げたての天ぷらと時間のたった天ぷらの違いを考えて頂ければ分かりやすいと思います。しかしコーヒー豆の油脂の劣化は、天ぷらほど急速ではありませんのでご安心ください。

劣化速度を和らげる保存方法

コーヒーをドリップするとき、新鮮なコーヒー豆だと良く膨らみますね。これはコーヒー豆に含まれる炭酸ガス(二酸化炭素)が原因です。コーヒー豆には、焙煎時に発生した炭酸ガスが内部に閉じ込められており、酸素や水分といった周囲の劣化要因から守る役割をしています。炭酸ガスは自然に少しずつ放出されていきますが、コーヒー豆の劣化を遅らせるには、この炭酸ガスを長く保持することが大切です。

コーヒー豆は挽くことで、内部の炭酸ガスの多くを失います。表面積が増えることで、残った炭酸ガスや揮発性の香り成分も格段に早く放出されてしまいます。ですので、コーヒー豆の鮮度という点においては、挽かずに豆のまま保存するのがベストです。

豆のままであっても、保存状況が鮮度に影響を与えるのは言うまでもありません。なるべく酸化の原因になる酸素や水分に触れさせず、かつ香りの揮発を抑えるため、必ず密閉容器に入れましょう。光や熱も酸化を早める原因ですので、光を避けて暗く涼しいところで保存してください。コーヒー豆は、「豆のまま密閉容器に入れ冷暗所で保存」することで、より長く鮮度を保つことができます。適切な方法で保存し、より長く美味しくコーヒーを楽しんでくださいね。