マンデリンの焙煎段階ごとの見た目や色の変化

生豆を焙煎することで、お馴染みの茶色いコーヒー豆になることは皆さんご存知だと思います。しかし、どの様な過程で変化していくのかということまで知っている方は少ないのではないでしょうか?
本日はマンデリンを例に、焙煎の進行とともにコーヒー豆がどの様に変わっていくのかをご紹介します。


焙煎前の生豆。このマンデリンの場合、濃いグリーンからクリーム色をしています。水分を豊富に含んでおり、固く、ずっしりと重みを感じます。生豆特有の青臭い香りがします。


焙煎の初期段階。水分が抜け始め、乾燥して白い部分が目立ってきます。


少し色づいてきた状態。水分量が減ることで豆自体が縮み、表面にしわができてきています。


さらに色づいて黄色っぽくなってきました。この状態になると青臭い香りはなくなり、甘い香りがしてきます。


黄色から茶色に変化してきています。


1ハゼの直前。水分がほとんどなくなり、豆が最も縮んだ状態。表面のしわも最もはっきりしています。


1ハゼの状態。パチッパチッという音がして、ポップコーンの様にはじけます。内部に生成されたガスや揮発成分で豆が膨らみ、豆が大きくなっています。表面のしわも少し減りました。今まで縮み続けていた豆が、ここからは逆に膨らんでいきます。香りはこの時点で香ばしい香りに変わっています。焙煎度はミディアムロースト。当店で浅煎りとして提供している豆は、大体この辺りの焙煎です。


1ハゼが終わった段階。ハイローストです。豆はさらに膨らみ、表面のしわもなくなりました。当店で中煎りとして提供している焙煎度です。


だんだんと茶色が濃くなってきました。まもなく2ハゼという段階です。この辺りになると焙煎の進行=色の変化がとても早くなってきます。


2ハゼのころ。ピチピチピチという小刻みな音と共に再びはじけます。焙煎の進行が早く、煎り止めのタイミングに注意しながら焙煎します。この頃からかなりの量の煙を伴います。焙煎度で言うとシティロースト。当店では中深煎りとして提供しています。


2ハゼの終盤。1ハゼから続いていた豆の膨張はほぼ終わります。焙煎の初期段階と比べると、豆の体積はかなり増えていますが、重量は逆に減っています。焙煎度はフルシティロースト。当店では中深煎りとしています。


2ハゼが完全に終わった状態で、豆の表面には油が浮いてきています。当店では深煎りとして提供している豆がこのくらいの焙煎で、一般的にはフレンチローストです。


こうして並べてみると、色の変化だけでなく、大きさもかなり変化しているのがお分かりいただけると思います。
今回はご紹介していませんが、フレンチローストから真っ黒になるまで焙煎を進めるとイタリアンローストです。

私たち焙煎士は、コーヒー豆への熱の加え方をコントロールすることで、コーヒー豆の変化をコントロールしています。それぞれの段階ごとに、どれくらいの熱を加え、どれくらいの時間をかけて変化させていくのか。この変化をコントロールするということが、コーヒー豆の味づくりそのものなんです。焙煎士の腕の見せ所とも言えますね。

今回はマンデリンをご紹介しましたが、銘柄や品種、精製方法によって見た目はかなり異なります。機会がありましたら、他の銘柄でも紹介したいと思います。