コーヒー生豆に含まれる欠点豆の種類

当店では焙煎前後に入念にハンドピックを行い、欠点豆を取り除いています。
欠点豆とは、「取り除かないとコーヒーの風味に悪い影響を与える不良豆」のことです。どの様な欠点豆の種類があって、取り除かないとどの様な悪い影響があるのでしょうか?
今回は、焙煎前に取り除く代表的な欠点豆の種類を、写真付きで詳しく紹介します。


■欠豆
精製や運搬の過程で割れたり欠けたりしてしまった豆。
風味に悪影響はありませんが、火の通りが不均一になりますし、見た目も良くないので取り除きます。


■潰れ豆
乾燥工程で踏まれたりして、潰れてしまっている豆。
これも風味に悪影響はありませんが、欠豆と同じ理由で取り除きます。


■貝殻豆
精製の過程で中身が抜け落ちてしまった豆。これも薄く焦げやすいため取り除きます。


■生育異常豆
遺伝子異常などで正常に成長できなかった豆。形がいびつです。えぐみや青臭い風味の原因になります。


■発酵豆
精製の過程で発酵槽に長く漬けすぎたり、槽の水が汚れていたりして、豆の内部まで発酵してしまったもの。刺々しい味やすっぱみの原因になるため、必ず取り除きます。
側面や裏側のみなど、部分的に発酵しているものもあるため、見落とさないよう注意が必要。


■黒豆
発酵豆の一種ですが、完全に発酵しきって真っ黒になったもの。コーヒーの抽出液に1粒でも混じると、強烈な異臭を放ちます。必ず取り除きます。


■カビ豆・虫食い豆
青くカビの生えた豆をカビ豆、虫食いの穴があるものを虫食い豆と呼びますが、この様に虫食い部分にカビが発生しているものが多いです。
カビ臭、えぐみ、すっぱみなど、風味に重大な悪影響を与えるため、必ず取り除きます。


■死豆
成熟はしたものの、何らかの理由でその後死んでしまった豆。正常な豆と比べて色が白っぽいだけなので、とても判別が難しい欠点豆です。
焙煎してもあまり色付かず白っぽいままなので、取りこぼしていても焙煎するとすぐに分かります。


■パーチメント
パーチメントと呼ばれる果肉の内側にある内果皮が、取り除かれずに残ってしまっているもの。この皮の内側に生豆があります。
風味に影響はありませんが、焙煎中に燃えたり火の通りが不均一になるため取り除きます。


これもパーチメント。生豆からはがれてしまっています。


■異物(小石)
これを見逃すとミルが壊れてしまう危険があります。


■異物(繊維)
焙煎中に燃えてなくなりますが、きちんと取り除きます。


■異物(トウモロコシ)
取り除かないとポップコーンができてしまいます!


いかがだったでしょうか?
今回は代表的なもののみ紹介しましたが、欠点豆の種類はこれで全てではなく、他にも色々あるんですよ。
この様な欠点豆をひとつひとつ丁寧に取り除くことで、コーヒー豆が持つ本来の風味、雑味のないクリアな味わいになるんです。

今回は、あえて欠点豆の多いコモディティグレードのコーヒー(当店での取り扱いはありません)をハンドピックしてみました。
当店で販売しているスペシャルティグレードのコーヒーは、現地で出荷前にハンドピックをされてから輸出されているので、欠点豆の混入はとても少ないです。
上で紹介したような異物の混入に関してはほぼゼロです。しかし農作物である以上、欠点豆がゼロになることはあり得ません。
銘柄や精製方法、ロットによって異なりますが、当店では0.3%~3%くらいを欠点豆として焙煎前に取り除いています。
これがコモディティグレードのコーヒーになると、3%~10%にもなります。

綺麗に見えても裏返すと虫食いがある、なんてことも良くあります。
膨大な量のコーヒー豆の中から欠点豆を取り除くのは、とても大変な作業です。
それでもお客様の「美味しい!」のために、情熱を持って日々ハンドピックに取り組んでいます。